「次の一歩」具体例

「次の一歩」の具体例~「ミスマッチ事例」をもとに

まずは目標やゴールイメージを明確に

 これまでの提言でよく取り上げられてきたテーマの一つに、「働く場所が無い」というものがあります。そして、毎回の答弁では、「実際には働く場所はあるが、働きたい仕事と実際の求人との間にミスマッチがある」と続きます。
 何度も話し合われてきましたが、解決に向けて大きく動いた実感はあまりなく、同じやり取りが繰り返されています。

 ミスマッチ問題は、
・産業構成に偏りがあること
・仕事内容や魅力がうまく伝わっていないこと
・給料や条件を大きく変えるのが難しいこと
・対策が大きすぎるか一時的すぎること
 こうした複数の要因が重なっているため、すぐに解決できるものではありません。

 この課題は中高生の力では解決できません。でも、集めた声やデータ、やってみた小さな取り組みがあれば、大人や行政が次の一歩を踏み出しやすくなります。

 だから今回は、
“中高生の立場から、この問題を動かすきっかけをつくること”
を目標にして計画を考えてみました。こちらとはまた違った切り口にしていますので、参考にしてみてください。

現状を分析し問題点を明らかにする

 ゴールが決まったら、次は現状を知ることが大切です。
 まずは、これまでにどんな質問や提案が出されたのかを調べましょう。
 そして、それに対する市の答弁について、実際の数値や資料を調べて、本当に根拠があるかどうか(妥当性)を確かめましょう。

Q
どうやって妥当性を調べればよいですか。
A

「本当にミスマッチがあるのか」を調べてみるとよいでしょう。

・市内にはどれだけの求人があるのかを調べる(市役所、ハローワーク等)
・求人の職種を分析する
・求職者の希望職種を調べる(ハローワーク、アンケート等)
など。

 問題が明らかになったら、その原因を探る必要があります。
 どうしてそのような問題が生じるのか、自分たちで考えてみたり、実際に人に聞いたり、現場を見たり、数字を調べたりして確かめてみましょう。

(例)
・中高生や働く世代にアンケートをして、やりたい仕事・やりたくない理由を集める
・企業に「なぜ人が集まらないと思うか」をヒアリングする
・求人がどこでどのように出されているかを調べる

仮説を立てて、行動開始!

 原因だと思われることが見えてきたら、仮説を立てます。仮説とは、「こうではないか?」という予想や考えのことです。これがないと、行動の方向が定まらず、やみくもに動くことになってしまいます。

 たとえばミスマッチが起こる原因が「仕事内容や職場の雰囲気が若者に伝わっていない」であると思われる場合、「若者が実際の現場を見れば、働きたい気持ちが高まるのではないか」という仮説を立てます。
 そして、その仮説を検証するために、行動を開始します。

Q
どうやって検証すればいいですか。
A

例えば以下のような検証方法が考えられます。

①自分たち自身が仕事を知る。
・求人の多い業種(水産加工、観光、医療介護など)を実際に訪問し体験
・写真や動画で「仕事の一日」「やりがい」を記録

②同世代に伝えるコンテンツづくり
・体験の様子を短い動画やスライドにまとめる。
・「推しポイント」「自分ならこう働きたい」という視点を入れる。
→市広報やSNS等に載せてもらい、反応を分析する。

③企業と一緒にミニ企画を実施
・1日お試しアルバイト企画、放課後インターン企画、職員との交流会等
→アンケートを取り、分析する。

④体験した内容を企業にフィードバックする
・若者の目線から「もっと人が働きたいと思えるようにする工夫」を考え、企業に伝える。

⑤若者に届く求人情報ルートづくり
・現在使われている求人の発信方法を調べる。
・若者が日常的に見る情報源(LINE、Instagram、TikTokなど)と比べる。
・「どこが足りないか」「どこを増やせば届くか」を整理する。
・若者に合った媒体での求人情報例を作成する。
→市の媒体に載せてもらい、反応を分析する。

取り組んで分かったことをもとに提言をする

 これまでにやってきたことや、その中で分かったことを整理・分析します。
 そして、自分たちだけでは解決できないことや、みんなの協力が必要な内容を提言の形にまとめます。

Q
どんなふうにまとめればよいですか。
A

行動した内容、考えたこと、市にお願いしたいことの形で書くとよいでしょう。その際、数値などのデータをあげ、根拠を明確にするようにすると説得力が増します。

①やったこと
 例:市内の○○業種を見学し、仕事内容や職場の雰囲気を写真や動画にまとめ、学校やSNSで紹介  した。

→そのときの反応・結果
 例:同級生から「やってみたいと思った」「知らなかった仕事だった」という声があった一方、「情報が見つけにくい」「条件が分からない」という意見も多かった。

②そこから考えたこと
 例:若者は現場を知れば興味を持つが、そもそも情報が届いていないことが課題だと分かった。

※ 他にも行動したことがあれば例としてあげるとよい。

③市にお願いしたいこと(やってみてよかったことをもとに、協力してほしいことを提案)
 例:
  市公式SNSや広報誌に、若者目線の職業紹介動画や記事を載せられる枠を作ってほしい。
  企業が気軽に1日体験や見学を受け入れられる制度づくりを進めてほしい。

 これはあくまで一例ですが、実際に動いてみることで、机上の調べだけでは分からなかったことが見えてきます。
 総合的な学習・探究の時間では、この「課題設定→情報の収集→整理・分析→まとめ・表現」という流れをくり返しながら、考えを深めていきます。そして、体験や調査で得た情報をもとに、さらに掘り下げて調べたり、人に話を聞いたりしながら、そのときの状況や条件に合った「自分なりの納得できる答え(納得解)」に近づいていきます。
 こうして培った「自ら問いを立て、行動し、振り返って次につなげる力」は、学校の中だけでなく、これから社会に出てからも課題を解決するための大きな力になります。